アッー!

アレックスは一心不乱に律動した。
たった二人、いや一人の、大自然の発現とも称するべきか。
周囲には触れ合う音が響く。

単調に見えるが、そうでもない。
やがて、彼の自然は激しさを増す。
嵐の中の木々のようにざわめき、翻弄されながら、
しかし自然の主は彼、という不可解性。
むしろ、不可解性を以てして自然とするべきか。

ついに自然が猛威を振るう。
彼のその律動は地震のように小刻みとなり、
そして、彼のアレックスは噴火した。
刹那、彼は耳にする。
「ワシの締まりはどうじゃった?」

目の前に髭とバンダナのキメラを確認した彼は、
「アッー!」
と断末魔を叫んだ。

リリアはまだ、設定されていなかった……。
【完】
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